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対談「カラーの仕事」

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八幡:前から、カラーを仕事にしている人って、すごいなと思っています。 形のないものをよく売れるなと。それは物を売るより難しいから、学ぶ人は多くても、仕事にできる人は少ないですよね。 仕事にするには、色の知識以外の方が重要ですが、スクールでは教えてくれない。まあ、教えてもらってすぐに仕事にできるようだったら、苦労はしませんが、この「誰も教えてくれないこと」を知ることができれば、カラーの仕事(業界)はもっと広まるのになと、思っていました。


桜井氏:そうですね、その通りですね。世の中にカラーの仕事というものがあると知ったのは、自分が社会人になって2年目のことでした。たまたま読んでいた雑誌に取り上げられていた小さな記事に「アメリカでは120色ものさまざまな色布を使って、人に似合う色をアドバイスする仕事がある」と書かれていたのです。その時に漠然と「わぁ、この仕事楽しそう。カッコいい。将来こんな仕事ができればいいな」と思ったのがすべてのスタートとなりました。その後、日本に初めて誕生したカラリスト養成学校に2年間通ったのですが、卒業した時点では、今思えばほんのわずかな「色の基礎知識」しか持っていませんでしたので、かなり途方に暮れてしまったことを覚えています(笑)


八幡:昔は本当に教えてくれることが少なかったようですね。その上レッスン料金はものすごく高額だったりして。聞いた話では、1週間のレッスンで100万円というスクールもあったようです。その時に比べると、今はかなりのことを教えてくれるようになったと思います。ただ、仕事にするための情報となると、まだまだ教えてくれるところは少ないです。どこで教えてくれるか、ネットでの情報だけではなかなかわかりませんし。私は多くのカラリストに会って話を聞いているので、どこで学べばいいかわかりますが、普通そんなに多くの人に会ってスクールを検討することはできないと思います。九州に住んでいたら、東京のスクールは遠すぎて、なかなか通えないという場所的な問題もあります。 だから前から、このノウハウをだれでも読める形にできればと思っていました。このたびは桜井さんのおかげで、「資料」という形にすることができました。ありがとうございました。
さて、桜井さんは20年以上もカラーを仕事にして、幅広く活躍していますが、前は何の仕事をしていたのですか?


桜井氏:当時の仕事は秘書でした。この仕事は「今所属している会社を退職してしまえば、一生続けることはできない。たとえば将来結婚したり、子どもが生まれれば続けられなくなる」と漠然と思っていて、一生続けられる仕事、ライフスタイルが変わっても何かしら社会とつながっていられるスキルを身に付けたいと、いろいろと探していたのです。


八幡:それがカラーだったのですね。仕事を始めた当初と、3年目、5年目、10年目、現在と、仕事の内容・提供するサービス・客層は変わっていったと思いますが、そのあたりを教えてもらえませんか?


桜井氏:私の場合、結婚・子育てを優先させ、できる範囲で仕事に取り組んで来ましたので、「3年後、5年後、10年後の事業プランや目標」を明確にしづらい時期が長く続きました。つまり、自然の流れにまかせてここまで来ました(笑) 仕事を始めた当初は「お家サロン」でパーソナルカラー診断。起業から3年が経過する頃にはカルチャースクールの講師も務めるようになり、その後出産・子育て。子どもが小学校中学年になった頃、思い切って社会人教育ビジネスを全国展開している企業に正社員として就職しました。これは将来的にカラーの仕事をより大きく展開するための勉強と思って頑張りました。 非常に大まかに言えば、起業当初はC to C、徐々にC to Bというスタイルで企業とのお取り引きができるようになり、現在ではB to Bです。


八幡:カラーをB to Bでできるってすごいですね。今なら次にすることなどが見えていると思いますが、最初って、何をしたらいいか、何から始めていいかわからなくて、不安じゃなかったですか?


桜井氏:不安はなかったです。ただ、周囲にこのような仕事をしている人が誰も居なかった。ですから非常に長い間、孤独だったかもしれませんね。すべてはひとりで考え、判断し、うまく行くかどうか確信も何もないけれどやってみなければ分からないという世界です。 もし周囲に相談できる先輩が居れば、もっと効率良く成功していたかもしれませんし、少なくともこんなに寄り道をしなくて済んだかもしれません。


八幡:今はネットで調べれば、誰が何をしているかわかりますよね。でもわかったとしても、私だったら同業者の先輩に相談しにいくことはしないですね。イヤだから(笑)来られた方もイヤかもしれませんし(笑)独立して仕事をしている人って、そのへんで共通しているのかもしれません。私はかなり「他の人は、どのようなことをしているのですか?」とカラリストに聞かれます。私はカラリストじゃないですし、カラリストの仕事については誰よりも聞いていると思いますから聞きやすいんだと思います。仕事のやり方や悩みって、同業者にはなかなか聞けないですよね。桜井さんはどうやって解決していますか?


桜井氏:常にひとりで考え、判断し、チャレンジしています(笑) これからカラーの仕事をスタートしようと思って悩んでいる方に対しては、私の失敗談をお伝えしたいくらいの気持ちです。そうすればみんな、スッと寄り道せずに成功すると思うから! 逆に言えば「仕事のやり方」というのは、ライフスタイルに応じて、人それぞれで良いかもしれませんね。


八幡:成功談より、失敗談の方が参考になりますよね。成功した時のやり方は、今は通用しないかもしれませんが、失敗する方法は、いつやっても失敗すると思いますし(笑)
さて、先ほど子育てを優先させて仕事をしていたとおっしゃっていましたが、子育てしながらの仕事は大変だったと思います。何が一番大変でしたか?


桜井氏:時間のやりくりです。でも、女性という動物は複数のことを同時にこなせるようにできているらしいです。


八幡:子育てと家事の以外の時間に仕事をするって大変ですよね。子育てしながら仕事しているカラリストは多いので、みんな体力あってパワフルだなと思います。
ここで、「カラーの仕事」について聞きたいと思います。私はカラーの仕事は芸人の仕事に近いなと思っています。形のないもの(笑い・カラー)を巧みな話術で人に楽しんでもらう、エンターテインメントの仕事。毎年多くの人がチャレンジするも、仕事にできるのは一握り。自己演出とプロモーションがとても重要。 桜井さんは、この仕事をどう思いますか?


桜井氏:なるほど!それはユニークな発想ですね。…しかしそう言われてみれば似ているかもしれません。皆さんに言われるのです、「カラーの仕事って、何を売っているんですか?」と。 カラーの仕事とは、どこにでも存在しているカラー(色彩)をツールとして活用する方法を紹介するものです。また、感性や感覚だけで仕事をしているのかと誤解されることが多いのですが、むしろ逆で、「どのような場面で、どのような効果を得るために、どのような色を使うのか」というロジックを売る仕事です。仕事をして行く上では、常に右脳と左脳をバランス良く働かせて行くことが、とても大切なのではないかと思います。


八幡:確かに、ロジックを売る仕事ですね。成功している人って論理的でもあります。今まで500人以上のカラリストに会い、1000人以上と取引きしてきましたが、成功している人には共通点があります。メールの文章と送られてくるちょっとした資料を見れば、「この人はできるな」っていうのがだいたいわかります。 例えば桜井さんの青山オフィスの地図(資料)って、すごくいいなと思います。 まず見た目(デザイン)がいいですし、地図としてわかりやすい。お客様を迷わせないための細かい気配りを感じます。オススメも書いてあって、お客様のその日一日、サロンでサービスを受ける時間以外の時間も、お客様に楽しんでもらいたいという想いが詰まっている。予約後にこの地図をもらったら、サービスへの期待値が高まりますね。 この地図には、桜井さんの仕事に対する姿勢が現れていると思います。 どんな点に気をつけて、この地図を作ったのですか?


桜井氏:あはは。そんなにお褒め頂き恐縮です。あれは自分で作ったのです。もともとデザインの勉強をしていましたから、イラストレーターやフォトショップというデザイン系のソフトを使うことが苦にならない。 私が資料や教材を作る時には、何度も繰り返し、お客様がその資料を初めて受け取った時のことをイメージします。カッコいい言い方をすれば、こちらの目線ではなく、お客様の目線をものすごく意識するようにしています。 もちろん自分の手に負えないものはデザイナーに依頼しますが、資料制作のコンセプトだけはしっかりと伝えた上で作ってもらっています。


八幡:イラストレーターやフォトショップは、カラーのプロとして仕事をするなら必須ツールだと思うのですが、使っているカラリストって全体の1%もいない。もっと使いこなせる人が増えると、カラー業界のレベルも上がるのになと思っています。このクオリティの地図を作ろうと思うと、かなり時間がかかると思います。業者に頼むとなると5000円くらいかかると思います。 この資料1つに5000円投資できる人、5000円分の労力をかけられる人が、成功する人だなと感じています。 美を提供する仕事ですから、他の人に見せる資料は美しくなければいけないと思います。資料はその人自身です。 適当に作れば、「この人のサービスレベルはこのくらいだな」っと、受け取った人(お客様や取引先)は感じます。 隙ができるちょっとした資料や、ちょっとしたメールの返信の方が、その人の本質がよくわかりますね。 「こんなものまで、しっかり作っているな」と思わせる人には、紹介が紹介を生んで、自然に仕事が集まります。また、企業セミナーなどの大きな仕事を手がけています。 桜井さんは企業セミナーや企業のコンサルティングを多く行っていますが、どのような経緯でクライアントを獲得したのですか?


桜井氏:先ほどお話しさせて頂いたように、一足飛びに企業とのお取り引きが始まったわけではなく、本当にステップバイステップです。 実を言えば、飛び込み営業というのはしたことがなく、そのほとんどが紹介とリピートです。 でも、私がカラーの仕事を始めた当初はコネクションもお金もありませんでした。一緒に勉強をしていた友達の中には、すでにデザイン会社の中で重要なポジションを任されている人や、親戚にファッション関係で活躍している人が居るなどという、うらやましい人が何人も居ましたので、つくづく「自分には、本当に何もないなぁ…」と思ったものです。 では、どうして今日の自分があるのかと言えば、「一度ご縁がつながった方々から忘れた頃にもう一度お声をかけて頂く」というパターンです。そうあるためには、クライアントに対して「グレードの高い仕事」を提供しなければなりません。ですから、50歳近くなった今でも一生懸命勉強し続けているのです(笑)


八幡:カラーを10年以上仕事にできている人は、桜井さんのように常に勉強を続けている人が多いですね。中には大学に通っている人もいます。よりレベルの高いサービスを提供しようとする姿勢やプロ意識が、仕事につながっているのだと思います。 さて、最後に桜井さんこの仕事を始めるときに、「こうしていれば」「これを知っていればよかった」と思うことはありますか?


桜井氏:今回、八幡さんとのご縁で実現したこのマニュアルこそ、私が24歳で起業した時、最初に欲しかったものです!ぜひ、お役立て頂ければ嬉しいです。


八幡:ありがとうございました。

PROFILE

東京カラーズ桜井輝子

桜井輝子

東京カラーズ株式会社代表取締役。「色彩」という普遍的なものを、「道具(ツール)」として活用することをご提案。 カラー・色彩の提案、企業研修・各種カラーセミナーの開催、教材制作、パーソナルカラーアナリストおよび色彩講師養成を行う。

http://www.tokyo-colors.com

https://www.facebook.com/tokyo.colors

https://www.facebook.com/teruko.sakurai → Facebook桜井輝子(個人ページ)※日常的なカラーの話題をリアルタイムに綴っています。どなたでもフィードをご購読頂けますのでお気軽にどうぞ。

八幡優(コラム担当)

株式会社AIS代表取締役。500人以上のカラリストに合い、要望を聞きながら教材開発や広告作成を行っている。2007年にカラー専門の広告サイトカラーナビを開始。

http://www.colornavi.net